山田温泉〔保存版〕③

今日は歴史です

昭和のパンフレット?を入手した

そう話す「山田館」の社長から

その画像を見せて頂いた

せっかくなのでその画像を交え

今日は山田温泉の歴史を

話したいと思います


♪山田温泉小唄♪
浮世離れた山田の温泉(いでゆ)よ
見され善光寺さん雲の下
さて ちょいと来てみな
寄ってみな
山田はよいとこ よいとこさぁ~


私が小学生の頃なので

今から45年ほど昔のこと

大湯前広場は駐車場を兼ねていて

行事あるごとに封鎖を行い

各イベントに利用していた

お盆はここにやぐらを建て

同志会メンバーが主体で

太鼓で音頭を取り踊ったものだ

その時地元婦人会の先導で

大勢の観光客が炭坑節など

輪を作り連日踊ってた記憶がある

その時にこの「山田温泉小唄」でも

踊っていた記憶はあるのだけれど

その踊り方はすでに忘れてしまっている

これを覚えている方はもう少ないだろう

また

時々訪れる芸能人を

宿泊した旅館から出てくる姿は

何度か見たことがあるけれど

TVザ・ベストテンでとんねるずが

雨の西麻布♪でランクインした際

長野市内で小賀坂SKI主催の

イベントにゲスト出演していた彼等は

その中継場所に山田温泉を選んだ

私たち同志会メンバーは

民衆を彼等に近づけない様

背を向け腕を組み

丸い円を作って

人間バリケード役をさせられた

手が届く距離でスターを見る事も

すぐそこで歌う姿というのは

最初で最後だと思っている

その時に感じたオーラや

輝く華やかな感じは

今でもハッキリと脳裏に残っている


〈同志会〉
世間的には青年団

そういった位置づけになりますが

ここ山田温泉では

村の青年団とは別組織で

18歳から39歳までが

在籍することができる

独自の組織が今もある

学生を終え社会人で入会

40歳を迎えた年に去る

その時の送別会では

小千谷の「婿投げ」のように

大先輩を風呂に投げ入れる

そんな事が恒例となっていた

しかし

そんな山田温泉も少子化となり

自分から卒業宣言するまでは

籍を置く事がOKと変化したけれど

しまいにはこのまま

老人会になっちゃいそうである(^^;

まぁそれはさておき

この同志会というのは

言ってしまえば遊ぶ仲間で

子供時代とは違った

オトナになってからの関係性で

〇〇ちゃんから専務

専務から社長と肩書が変わっても

〇〇ちゃん呼ばわりできる

そういった仲なんですよね

芸者遊びも

コンパニョンも

海外旅行も

全部ここで覚えていったものだ

なので

ここの仲間は絆が強い気がする

だってずーっと一緒だもん

嫌でもそうなりますよね

そんな事もあるおかげか

ここの仲間は今でも好きです



〈森鴎外〉
時代はさかのぼり明治時代

森鴎外と山田温泉について

少し触れてみましょう

明治23年、信州を旅して、須坂から牛を曳いて山田へ帰るという老爺に出会い山田温泉に着いた。いわゆる南志賀の高原温泉としてはまだ知られてなくて、信州や越後の一部だけ知られていたに過ぎない素朴な山の湯治場でした。すっかりこの地を気に入った鴎外は、家を建てたいから土地を売ってくれと手紙を出した。しかし祖先伝来の土地を人手に渡すのを嫌った主人に拒否された。もし鴎外がここに別荘を建てたならもっと有名になっていたかもしれません。≪以上抜粋≫

こんな騒動があったとは

実は知りませんでした

確かに鴎外の別荘があったなら

間違いなく有名温泉地に

なっていた事は疑いもないのですが

鄙びた温泉場

その雰囲気にひかれた鴎外

それが今なお残っている事も

重要だったりするのかもです


〈雷滝〉
むかしむかし

信濃の山奥に鬼がおったとさ・・

ここは信濃の山奥で、あたりの空を根城にしている雷様の一族がありました。ある夏のお天道様がギラギラと照りしあまりにも蒸し暑い日なので、雲の上でうたた寝をしていた雷様が夕方近く目を覚まして「天上でこんなに暑いのだから下界ではさぞかし暑いだろう。ひとつ雨でも降らしてやろうかな」と言って大声で雨神様に呼びかけました。
「おーい!夕立を降らすんだ。お前様も手伝ってくれ!!」雨神様は「よーし、今すぐ行くぞ」と大手を拡げ、真黒い雨雲をむくむく。二人の神様は、仕度ができると、ザーッと大粒の雨を下界に降らし雷様は背中の太鼓をゴロゴロとたたき、下界も涼しくなったかなぁと目おろすと、一人の若い娘が谷あいの川裾で裸になって水浴びをしているのが雷様の目に飛び込んできたのです。その美しさ思わず生唾を呑み込んで、なおもよく見ると娘の白い肌や胸など全部が全部まざまざと目にはいってきたので、さすがの雷様もニヤニヤと鼻の下を長くし、思わず身をのり出したとたん・・・「あっ!」と真逆様に地上に落っこちてしまいました。娘の眼の前に「ピカリ」と大きな図体が光といっしょに飛び込んだので仰天した娘は悲鳴をあげ裸のまますっとんで逃げ出しました。雷様の落ちた後には大きな穴ができ、その落水は稲妻型に流れ落ちているところから雷滝の名が付けられましたとさ。



〈共同浴場 大湯〉
建て替える前の大湯は

ロータリー側と県道側に

それぞれ入口がありました

そして写真で見てとれる様に

今より浴槽が大きく2分割だった

その仕切り板の構造は

中間と底面には大きく穴が開いており

湯が出入りできる様になっていた

なので上部の熱い層は

この板で遮断される為に

下流側の浴槽はぬる湯になっていた

よく考えられた仕組みだったと思う

しかし改修後は今の様に

ひとつの大きな浴槽になってしまった

しかし今

山田温泉の若手で

この仕組みを復活させようと

相談しているところなので

近い将来復活するかもしれません

仕切りを設け「熱湯」「ぬる湯」とし

今のぬる湯を「水風呂」にする

コレかなり現実味ある構想です

温冷交代浴って言いますが

ブームは去りつつある

サウナがそうであるように

体を温める⇔冷ますを繰り返せば

様々な効果があります

しかしサウナと浴槽入浴では

効果の違いもあるようですが

ちょっと期待していてください

そして皆様からの生の声として

ご意見箱へでも

投函いただけるとなお一層

現実味がUPすると思います

よろしくお願いいたします



さて

3回にわたり山田温泉であったり

天然温泉についての

個人的な意見を話してきました

少しでも共感できる部分や

私がどれほど

この温泉を愛しているのか

伝わったならば嬉しいのですが

元気で歩けるうちは

私は「湯守」を続けたいと

そう思っている!


思えば2011年6月1日のこと

先代から引継ぎを請け

現在まで維持管理を行ってきた

ふたを開けてみれば

割に合わない仕事だけれど

この任務にプライドを持っている

温泉が湧く所には

大概こういった人が居て

そこ独自のやり方で湯を守っている

経験がモノを言う部分も多い

例えば湯花を見る事で

今はどんな状態なのかなぁと

考えを巡らせながら湯に浸かり

肌に感じるモノ

それは刺激であったり

湯上り時の肌艶感だったり

数値的なものではなく

肌感覚というものも

状況判断の材料にしている

そんな役目を仰せつかっているので

流儀を無視した行為

無造作に加水をする行為は

本当に悲しくなります

我慢して入れる程度の加水

それが常識的な範囲であれば

泉質にも影響は少ないですし

アリだと思っています

なのでR66の常連様の中には

朝風呂へ行ったものの激熱で入れず

掛け湯だけで退散してくる姿がある

これを「勇気ある撤退」と呼びますが(^^;

私はこういった行為に心を打たれ

感謝で頭が下がる思いになります

そうはいっても

人それぞれ肌感覚は違う

そんな意味で

これでも目をつぶっている事も多い


温泉の温度を適温にする

その方法は幾つかあります

例えばお隣の草津温泉は

名物の湯畑に象徴される様に

幾重にも貯湯した箱をくぐらせ

空気に触れさせて冷ます手法

また板を使った湯もみもそうです

しかしこの方法の弱点は

温泉の命である鮮度を落とす

しかしメリットもあり

この酸化をさせることにより

あの乳白色の色に変化するので

日本人には非常にうける事になる

そういった意味では

山田温泉の「わなば源泉」だけを

単独で引いてこれるなら

乳白色の湯が楽しめると思うが

今はそれをしていない


話は少しそれますが

日本各地で深刻となっている

「温泉が枯れる」という現象

前回も触れましたが

もう少し補足させてもらう

その理由は大きくふたつ

日々起こっている微振動の地震で

地盤がズレてしまった事によるもの

そして二つ目は

動力による汲み上げにより

雨など地下浸透する量との

バランスが崩れたまま

使い続けた結果によるものがある

ここ山田温泉はどうなのか?

わなば源泉は掘削による自噴

元湯源泉は2kg圧でのエアリフタ

その混合泉でひいている

その わなば源泉を掘った当時

360~380L/分の湯量があった

それが数か月後になると

170~180Lほどに変化した

そして現在もその程度の量で

落ち着いてはいるけれど

数十年?数百年後?には

枯れてしまうのかも知れない

そういった意味でも

山の恵に感謝しながら

有難くその恩恵に浸りたいものだ


日本全国各地に存在する

それぞれの温泉を訪れる時

思い出してほしいと思ってます

この感謝の心さえあれば

入浴マナーも変わる事でしょう!

次に使う人の事を思い

掛け湯をしてから入る

過剰な加水をしない

タオルや髪を湯船につけない

浴槽内でオシッコをしない

湯船で歯磨きをしないなどなど

当たり前のマナーを守り

皆がほっこりと

心癒される空間を保ち

あいさつから始まる

裸の付き合いをして欲しいです

私はいつもそう願っております


以前にも言いましたが

我が宿の常連様は

近所からもマナーが良い

そう耳にすることが多々あります

とても誇らしいことです

特に滝の湯の鍵には

ライダーハウス ルート66と

ばっちり書き込まれています

住民はそれを必ず確認してます

心して利用してくださいね

それが皆様のプライドですもんね


数回に分けて書き綴ってきましたが

私の思いのたけすべてを口にしました

山田の湯しかり

各地の温泉に入る時

今回の話を思い出して頂けると

大変嬉しく思います


”湯の沸くところに
人は集まる
そこには上も下も無く
皆平等である”

おわり


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