そうだ会津へ行こう①
週間予報では傘マークが続き
2週間先もすぐれない
当然ご予約も入って来ない
それは週末でさえ同様
こういう事を
開店休業中と言うのだろう
今回の相棒は
ポンコツ号と決めている
フクロウ君(RT)であれば
雨だろうが台風だろうが
気にせず私は旅に出る
しかし積載量が限られていること
そして何より
マシントラブルもあるだろう
このポンコツバイク
できれば晴れているタイミングで
のんびりと走りたい・・・
急遽 予定を前倒し
以前から気になっていた温泉
その宿へ予約の電話を入れる
しかし生憎満館なんだと言う
ところが
こんな世の中なので
因みにどちらにお住まいですか?
と尋ねられたので答える
それから少しやり取りがあり
今回は残念ながら諦める
私の勝手な想像だけど
新規のお客と県外者は
受け入れない方針の様にも
感じ取る事ができた
まぁそんなご時世
私だって納得できるので
こればかりは致し方ない
次に気になる宿を検索
幸いにもネット予約可
しかし
ポチっとするには
かなり高価になる
お一人様は何とも生産性が悪い
でも 頑張ってる自分への
たま~にのご褒美
そう都合のいい解釈をして
思い切って予約を入れた
これで旅の準備は整った訳だ
目的地までの距離は250㎞程度
急ぐほどの工程ではない
しかし
ライダーの性というのは
誰しも一緒で
こんな私も5:30に目が覚めた
もう一度寝ようとするが
我慢できずに起きる事にした
自宅から山田温泉へ向かい
そしてパッキングを済ませ
7:00頃にバイクに跨った
向かう先は福島県会津方面
R117から田子倉を抜ける
一般的なルートを考えている
平地から山道と
慣らし運転には最適だと考えたのだ
いつもみたいに
2~3時間走る続ける事はせず
ケツが痛くなる頃
マシン休憩も兼ねて
1~1.5時間に一度休む予定だ
霧雨が降る山田温泉
そしてこの時期でも
北信濃の朝は寒い
グリップヒータもカウルも無く
冷たい風がもろに感じる
それでも連休中よりは
随分と暖かくなっている
早出勤の通勤車両の列
シールド越しに感じる視線
知人の自動車
そっとインナーシールドを下げる
シフトダウン時のギア抜け
ギヤチェンジが難しい
停止時は必ずNポジションへ
僅かな時間でもクラッチレバーを
握りっぱなしにしないこと
諸先輩からの忠告を実践する
うしろ下がりの停止
ドラムブレーキの特性で
後に下がってしまう
そんなひとつひとつを体験し
アドバイスを思い出し
内心はドキドキなくせに
涼しい顔を装い
精一杯 熟練ライダーを気取る
出発から1時間
すき家 飯山店に到着
朝食そして給油を済ませる
RTであれば
長野県を出ている頃だろう
想像していたよりも
時間で移動できる距離は
随分と少ない
出発前に
Newインカムをセットする
説明書を忘れてしまったが
例のヤツは直感で操作ができ
すんなりスマホと繋がり
ナビ音声も音楽も
綺麗な音質で聞く事ができた
Musicは陽水を選曲してみる
ガソリンコックをONにして
キャブのテイクラーを2度押す
一呼吸おいてから
アクセルをあおらず
キックペダルを踏み下ろす
今回は一発で機嫌よく
エンジンが始動した
この車体はノーマルである
フラマグ点火方式なので
バッテリーが死んでも
エンジンは掛かるけれど
掛かりが悪くなったら
バッテリー点火への変更も
いずれは必要になるかも知れない
でも師匠いわく
この個体は掛かりが良いので
とりあえずこのままで・・
という事にしてある
ただ
こういった儀式もまた
旧タイプの楽しさともいえる
この先は走る車両も少なく
生まれ変わったポンコツの運転にも
随分と慣れてはきたが
時々シフトダウン時に
ギヤ飛びを起してしまう
特に3速→2速の時が多い
R353清津峡方面へ向きを変え
険しい峠道へと入っていく
眩しいほどの新緑
残雪を残した山々
そんな景色に見惚れ
調子よくワインディングを走行中
またシフトミスを起こし
走行ラインを膨らませた
対向車線へ飛び出る様な
そんな事は無かったものの
エンジンの回転数と
ギヤが合わない様なチェンジは
この頃の旧タイプの場合
ギヤ抜けを起す
となるとそのままリヤタイヤに
トラクションが掛からない状態で
コーナーを曲がることになる
怖いもんですねーー
ハッとしてニーグリップを強め
車体の向きを強引に変える
センタースタンドがガリガリと擦れ
センターライン付近まで膨らんだのだ
今までの俺は
最新マシンの性能に頼り
単車本来の基本的な乗り方
それを雑に行った運転
そんな癖が付いちゃってたんですね
例えば
ワインディングコーナー登り
イイ感じにコーナーに飛び込み
シフトダウンでエンブレを利かせ
車体を倒し込み
徐々にアクセルを開けながら
旋回していく
後は色々な装置が働き
乗り手の技量をカバーしてくれる
それがこのポンコツの場合
ブレーキでしっかり速度を落とし
エンジン回転を感じながら
アクセルを徐々に開けていく
場合によっては
シフトダウンも必要になるけど
それはその先のRや傾斜を
予測しながら行っていくもので
ガシャガシャと
シフトチェンジを繰り返す様な
乗り方はこのバイクに良くないし
そもそも出来ないのである
なので
リアブレーキを引きずって
コーナーを抜けて行く走りも
時には必要なのだ
それでも
峠を降り切る頃には
エンジンがある回転域に達する頃
クラッチを長めに切り
丁寧にシフトをチェンジする
そしてクラッチを離しながら
アクセルを開ける
ダウンさせる時ほど
慎重且つ丁寧に操作させる
そんな乗り方がこのポンコツは
好きなんだと思うし
やっと身に付いてきた
飯山を出てから1.5時間程で
湯沢市内に出た
お目当てのラーメン店の
オープン時間までには
まだ1時間程あるので
湯沢市内のスキー場を回ってみる
当然クローズになってはいるけど
幾つか来てみたい!
と思う様なスキー場を発見できた
つけ麺が有名な「維新」
連休中にお客様から聞いた店
開店15分前には
平日にもかかわらず列ができ
地元ナンバーの常連さんに伺えば
まずは「つけとん」
それが売りだと聞いたので
それを注文する
つるっとした中太ストレート麺と
私には強烈に塩っぽい付けダレ
最後に出汁割りで飲み干す様だが
それはとてもできなかった
魚沼といえば
コシヒカリで代表させる米所
ちょうど代掻きが始まり
あちこちで水田作業の真っ最中だ
間もなく
関越道をくぐり抜け
田子倉方面の峠超え道に入る
そこはタイトコーナーが続く
難易度の高いワインディングになるが
とても好きなルートのひとつ
峠の先は福島県になる
この辺りも豪雪地帯なので
雪解け水が路面にあるだろう
気を付けて走ろう
何しろブレーキ性能が悪く
急停止は出来ないバイクなのだから
タイトコーナーの連続
曲がらないバイクの運転が
少しづつ解り出した
スキーで例えるなら
ターン前半の谷回りの時って
体を次のターン方向へ向ける
同時に外モモでタンクを強く押してやる
それを意識してあげれば
こんなポンコツバイクでも
くるくる回旋しだす
十分楽しいじゃないかコレ!
GSやRTは意識しなくも
見ている方へ勝手に曲がる
極端な言い方だけど
それくらい高性能マシンなので
しばらく忘れていたけれど
確か古いバイクって
こうやって乗っていたよなぁと
昔の記憶が蘇ってくるものですね
それでも下りは
2~3度ギヤ抜けを起すも
随分運転にも慣れ
スノーシェードの
滝の様な雪解け水や
残雪と新緑の対比がとても好い
奥深い山の景色も一緒に楽しめた
峠を下り切り
田園地帯を走っていると
ある案山子に目が留まる
メットの中で思わず
『なんだぁぁ~~』と声を上げ
Uターンして近寄る
これ作った方のセンスは凄い!
天才だと思うのであった
イイじゃないか福島
私はこの一帯を南会津と呼ぶが
何度来てもこの周辺の景色が好きで
奥深い山々と
農村の風景
採られず残る山菜類
丁度今は
田植え作業の季節
清流では竿を垂らす釣り人
のどかである
そして癒される
給油を済ませると
計算では23㎞/Lだったが
どうも怪しいので
20㎞/Lと計算しておこう
今までと違いこのバイクの場合
宿に着いたらメンテもしたいので
このまま宿へと向かい
16:00 甲子温泉大黒屋 到着
エンジンオイル量を確認する
1~200㎖程度の消費
走行距離はざっくり300㎞なので
1泊2日のツーリングならOIL一本
今後はそんな計算でいいでしょう
この宿を取った理由は
もちろん6角形の大岩風呂
足元から湯が沸く
足元沸出泉
私が死ぬまでに入ると決めた
日本全国69ケ所のひとつ
日帰り入浴もできるが
今回はご褒美と理由をつけて
ひとりで予約をしたのだった
チェックインを済ませ
早速階下の大岩風呂へ向かう
あろうことか
誰も入っていない幸運を得た
『しあわせだなぁ~』
私にはぬるめに感じるが
一般的には適温なんだろう
サドルシートによる
ケツの痛みをじーっくり癒そうと
ぷかぷかしていると
ご婦人方が3名入って来られた
すぐ出ますと言う雰囲気
そんな間も無く
ぞろぞろ入ってきちゃった
参ったなー
完全に出るタイミングを失った
男というヤツは
こういう場合
とても不利な立場になる
混浴なので
多少の覚悟はあるものの
数的にも態度でも
完全に負けてしまっている俺
さて
どうしたものか・・