ポンコツ車
冬の間に点検整備を依頼してた
BMW R60/2が一応乗れる状態となり
ディーラーさんと話合いの結果
現状で車検を通す事にした
もっと手を入れないといけない箇所は
沢山あるという事ではあったが
ヴィンテージバイクというヤツを乗ってみて
気に入る(相性が合う)様であれば
本格的にメンテナンスをしましょう
とマイスターからの進言でそう決めた・・
ディーラーでより詳しく説明を伺うと
バイクの命といえるエンジン周り
オイル上がりorオイル下がりの症状があり
プラグがススケてしまうらしい
燃料はこれ以上薄くできない調整にしても
症状は変わらないので間違いないのだと言う
その原因として考えられる事は
エンジンのシリンダーヘッドとピストンとの間に
不要な隙間が発生している為で
ピストンリングの交換だけで直る事もあるし
シリンダー交換となる場合もある
要するに分解してみないと分らないって事
それは当然の話で
旧ヤナセオート 現在のMotorrrad高崎で
販売&整備していた車両でもない
しかも素人が触った形跡がある為
何をしてあるか疑問もあるのだろう
いずれにしても
ここの店長はBMWメカニックのマイスターである
「エンジン音を聞いただけで修理できる」
と全国のディーラーでも名が知れてる人物
OHVのボクサーエンジンに関して
絶対的に私は信頼を寄せている
ではこんな車両持って帰ってどうするの?
と一瞬考えたが
代えのプラグを用意しておけばイイのだ
でも何キロ走れるかは誰にも判らない
走ってて噴け上がりが悪くなったら
交換のタイミングだってこと・・
そんなこんなで多少の不安はあったが
13:00過ぎディーラーを発った
iwaoさんから勧められた食堂
碓氷峠の麓にある「関所食堂」へ向かう
しかし何と言うバイクだろう!
遅いし 止まらないし 曲がらない
バックミラーこそ付いてはいるけど
まったく後方は確認できない
接触不良なのかウィンカーも出ない時がある
ハンドル部にひと組在るだけなので
後続車に轢かれないかとドキドキだ
そんな心配もすばらく走っていると慣れてくる
なかなか楽しいぞコイツ♪
ランチ時が過ぎている為か平日のせいか
店内には2人食事をしていただけ
一応メニューに目を通すが
ラーメンとチャーハンと決めていた
店構えも渋いが味も渋い
いいじゃないかココ
特にチャーハンが気に入ったよ
この先は旧碓氷バイパスを走る事にした
メガネ橋の前で一枚写真を撮ろうではないか
恐らくレトロどおし絵になると思う
曲がらないバイクと格闘しながら
九十九折りのカーブをひとつひとつ曲がり
どう走ったらいいのか探るが
クセがあまりに強く悪戦苦闘する
二度ほどオーバーランしそうになったが
やっぱり走ってて楽しい
だけど遅い ^^;
軽井沢に入り街を抜けかけた頃
信号発進する度に噴け上がらない
ついに来たか!!
そうは言っても何が原因か分らないので
空き地へバイクを停めた
すると間も無く軽トラックが入ってきた
怖そうな面持ちの60代半ばのその男性は
すぐさま自動車を降り近寄ってきたので
『ちょっとここに停めててもいいですか?』
と丁重に許しを得る俺
『あー ここはやってないからいいよ』
んん 所有者じゃねえのかよ・・
『前を走ってた珍しいバイクだから見たくてよ~』
なんだぁ そういう事か (^_^;
軽井沢町民の彼も
ハーレーのローライダーを乗ってるライダー
しかもヤナセオート/ハーレー店のお客様
昨日メンテナンスに行って来た所だと話し
そこから長々とバイク談義がはじまった
不調の原因はディーラーに問合せるのが一番
との進言で即座に
motorrad高崎のマイスターと話す
オーバーヒートも考えられるけど
やっぱりプラグを確認しなさいとのこと
ところが車載工具が何一つ無いのだ
『すぐそこに重機レンタル屋がある
ちょうどそこに行く途中で
俺の良く知る仲で社長もバイク乗り』だと話す
付いて来いと言われるまま
お言葉に甘えることにした
重機が乗る分厚い鉄板の所に誘導され
あらゆる工具を使わせて頂き
真っ黒にススけたプラグを磨き
R60は復活したのであった
同じバイク乗りの優しさに助けられ
何もお礼ができずアリガトウと言い走り出した
小諸市に差し掛かった頃から
浅間サンラインは事故渋滞で一寸ずりとなり
その後スムースに走れる条件になったけれど
R60君がまたパワーダウン
どうやら二気筒エンジンの片方が
時々死んでいる感じで
まったくスピードがあがらない
噴けあがらないのでスロットルを開ける
余計?!にエンジンがかぶり
真っ黒い煙が出始め
そしてついにエンジンが止まった・・・
工具が何も無いのでどうしようもない
何度かキックするも
エンジンが火を噴く事は無かった
菅平越えを諦め街に向かう
オートバックスか上田の南海部品まで
バイクを押してでも行こうと決めた
途中2軒のガソリンスタンドに立ち寄り
工具を借りようとお願いするも
整備を行っていないと断られてしまい
1キロほど重いバイクを押す
エンジンの掛らないバイクほど重いものはない
体中汗だくとなりヘロヘロになった頃
長い下り坂の先にある
きつい登りをクリアできさえすれば
目的の南海部品だ
この時代のバイクにはアノ手がある
そう度胸を決め押しがけを試す
一回でエンジンが掛った!
しかし片側だけの出力は心もとない
車体の振動も半端ない
とはいっても300ccの出力はある訳で
力技と根性でショップに駆け込んだ
プラグ回しと真鋳ブラシそして予備のプラグも購入
店先で丁寧に作業を終えたが
すぐには走り出さず
ゆっくりタバコ吸いながら雨雲レーダーを確認
自宅付近の天気は良好
この先も雨に当る事は無さそうである
しかし峠を越えれる調子ではないので
ここはR18沿いを大人しく帰るとする
坂城町からは堤防道路を使い
更埴JCからは松代方面へと進み
また堤防道路を使いやっと須坂市へと来た
辺りはうっすらと暗くなりはじめており
19時をまわっている
高崎市からたかだか130kmなのに
6時間もかかっている事になる
気温が下がってきた為かバイクの調子がいい
ヘッドライトを点灯させようとSWを回した途端
順調だったエンジンが止まった
納車時に説明されたSWの接触が悪い事
それを思い出しカチカチさせると
惰性で走っていたエンジンが復活した
とんでもないポンコツバイクに
もう笑うしかない
だけどね
得もいえぬ面白さがあるんだよね
乗っていて楽しいんだよぉ
どう表現して良いのか言葉が見つからないけれど
「コイツとずっと付き合っていきたい」
そう思う気持ちがどんどん高まっていく
一般道を60km/hで走っていたとする
すると走り慣れた道でさえ
こんなにスピード出して大丈夫か?!
と思えるほど心配になってくる
そのくらい性能の悪いマシンなのに
可愛さが増してくる
きちんと整備すればちゃ~んと走り
整備を怠ればしっぺ返しに合う
ヴィンテージバイクは構造がシンプルだ
なのでメカの事をコイツで学びながら
きちんと走るオートバイへと
時間とお金を少しづつ掛けてあげたいと思った
BMW R60/2
1967年 Made in ドイツ
私とほぼ同い年に生まれたこのバイク
人間の俺だってポンコツになるんだから
整備してあげなきゃ機械だって可哀想だね
古いバイクを持つということは
こういう事なんだと今さらに思えた日となった
雨の日が続くこの時期
今はまったくもって楽しくて仕方ない
お客様の来ない日は私専用のガレージ
そこでコツコツとバイクを磨き
そして飽きもせず眺める
そしてまた磨く
そんなR60君の今はシマウマ状態
保護パーツでケミカル製品のテストをした後
ボディーを磨くので左右が斑模様となり
本当 シマウマと言う表現がぴったりだ
手を掛ければ掛けるほど光り輝く様は
この上なくやり甲斐があり
素敵な女性を得た様な感覚にも似ている
手が荒れ指先が痛くなってさえも
また明日も磨きますよ~