BCの世界
山スキーを買った
今まで仲間のお下がりだったが
やっと今年自分の板を手にした
譲って頂いてからすでに10年
まぁよく使ったと思うけど
BC(バックカントリー)へ行く事も
シーズン中そうは機会が無いので
10年は使えると思っている
シーズンが始まってから
ショップやネットで探し廻ってみるが
お目当ての板が見付けれなかった
我々スキー教師は
ファットスキーやロッカーなど
余計な細工をしたモノは
かえって滑りずらく
重くなったりするので必要ない
普通の板で十分なのである
但しビンディングはツアー用が必須
私はMARKERのツアーF12を使っている
時に氷河の様な
カチコチに凍った場所を階段登行したり
エッジを利かせて滑る場面もあるからだ
なのでスキーのセンター幅は
せいぜい75mm程度
そしてせっかく買うのであれば
ステップソールの滑走面が欲しい
それでいて安く手に入れたい
中古でも何でも良かった・・
そんなある日
青森スキー製作所から出している
RANDONNEE「ランドネ」を探し当てた
http://bluemoris.com/bluemoris.html
フランス語でトレッキングを意味するらしいが
デザインもカッコイイのだ!
いいでしょう~ 木目ですよ
このステップソールとは
滑走面側に魚のウロコ模様を加工してあり
これがハイクアップ(歩く)する時に
後にズレにくくなり
一歩一歩確実に前に進めるのだ
この加工が無いスキーの場合
スキンとかシールと呼ばれる装備を
滑走面に貼り付けないといけない
またこの貼り付ける作業が面倒なので
できればこのステップソールの板が
どうしても欲しかったのだ
しかも定価が¥40,000ほどで
まだ手に入ると言う
先輩スタッフもお気に召したようで
一緒に2セットオーダーする
後日 手元に届き
古い板のビンディングを移植し
さっそく試し履きをしてみる
粉雪でも多少の斜度であれば
このまま十分に登坂できる
しかしその反面
滑り降りるのが苦手の様で
まったくスピードが出ない
そしてズラす事が非常に難しい
製品名の如くトレッキングの為の板だ
店員さんの教え通り
ウロコの部分はリキッドワックスを施し
トップとテール部はHOTワックスを掛け
虎視眈々と天気の具合を探っていた
そして先週のとある平日
それまでの天候・条件等を満たすタイミングで
ちょいとテストツアーしてきた
ヤマボクの上部よりハイクアップし
熊の湯スキー場でラーメンを食べて
そして戻ってくる予定
ご存知の皆さんも多いでしょう
宿の前の県道66号線を
山田牧場~笠岳~R292平床への道
この笠岳の北側を巻いていくのが
通常のルートである
しかし今回は南側を巻いていく
そのルートに挑戦してみたかった
今からおよそ50年程前
今回計画している南ルートが
本来の県道66号線だった
ある日 土砂崩落をおこし
復旧工事の難しさから
現在の北側に新しい道を作ったのだ
それでも今もその道跡が確認できる
道路が崩壊した距離は
おおよそ300mほど
この間をスキーで渡れるのか
その調査も目的のひとつだった
スキー学校で準備をしていると
若いスタッフとその宿の居候の
大学生が出勤してきた
私たちの様子を見て
『これから行くんですか?』と
行く気満々な感じで聞いてくる
行きたいならすぐ準備しなと誘う
彼もBCスキーのガイドもできるので
装備なんかもしっかり揃えている
ちょっと待っててと言い
急いでその準備に取り掛かる
しかし居合わせた居候(学生)は
まったく何の装備も無いが
どうしても連れて行って欲しいと言う
彼のスキーの腕前は把握しているので
今回のルートは十分に対応できる
そこでアルパイントラッカーとシール
最低限必要な装備を貸してあげ
4人で行く事になった
何十年も使われてない
南ルートの調査下見
もしあまりに危険なら引き返す
そんな事もあったので
先輩ガイドと一足先に出発した
スキー場事務所に入山届けを出し
シングルリフトを降りた所から
いよいよBCへと足を踏み入れる
2日ほど前に降った雪は
サラサラのパウダーではあるが
県道66号程度の登り坂であれば
楽々ハイクアップしていける
この登坂能力であれば
今回はシールを付けなくて良さそうだ
ステップソール恐るべしである (^^)v
歩き始めて30分
皆さんも好きなビューポイントに到着
ここからは山田牧場の全景
そして正面に北アルプスが望める場所
水分補給も兼ねて小休止
先輩から山の名前なんかを教わり
そしてハイクアップ再開
※南ルートへ続く分岐より笠岳を望む
出発から約1時間
南ルートの崩落場所まで到着
難所を超えるルートを目視で探す
そうこうしていると
後続の二人が追い付き合流した
笠岳の北側と違い
こっちは絶景が広がっている
正面に熊の湯スキー場の
第二ペアリフトの降り場が見える
時々スキーヤーが降りたり
景色を眺めている姿が確認できる
向こうからこっちも見えている事だろう
その右手奥は横手山である
写真には納まっていないが
白根山 万座山 御飯岳などなど
上信越国立公園の山々
冬でなければ見られない景色
それが遮る障害物も無く
一面に広がっている!
BCスキーの魅力のひとつですね
一応リーダーである私から
この先の突破ルートをメンバーに伝える
雪の層・量から推測して
雪崩れる危険は少ないと判断
なので計画通り
ココを突破しようと話す
その方法は
赤丸部まで一気にトラバースして
その岩陰にとどまり
約50m先の平部分(道)まで
せっせと階段登行で登り上げる
そう提案してみると皆も賛成した
しかし先頭の私が滑った後
雪面に変化が起こったならば
ルートを変えること
もしくは北ルートに変更し
熊の湯で合流する事にした
いざ 40度ほどの斜面を
一気にトラバースする
もし雪崩が発生しても
それより早く岩場の下(赤丸)まで
一気に滑る必要があるけど
もしや岩が雪で隠れていたら
それはそれで最悪な事になるが
目視での推測通り
無事 目標地点へ辿り着いた
時間を置き
一人一人慎重に且つ大胆に
一番の難所を切り抜けた
さすが皆さんお上手でした(笑)
もし転倒などして数メートル落ちても
30分は余計に時間を要しただろうに
無事でなによりだった
※岩の下部 反対側からの画
※何となく道型はあるが繁殖した木々
※高山村と山ノ内町の境界?
この先はほぼレベルで歩く事ができ
視界の開けたエリアになる
夏場もこの辺りまでは車が入れる
そんな場所なのかもしれないが
コナラやクヌギの木には
沢山の熊爪が見て取れるので
立ち入らない方が身の為ですネ
ここまで来たら目的地は近い
正面の尾根の向こうは
熊の湯スキー場になります
この方角から見る笠岳は
映画「未知との遭遇」で登場する
アノ山に似ていると思うのは私だけ??
学生は壮大な自然を目のあたりにして
スマホ撮影を何度も繰り返していた
出発時間が遅れた事もあり
熊の湯のレストハウス到着は13:00
ヤマボクから2時間30分の工程だった
楽しみにしていたラーメンはメニューになく
¥1,200のから揚げ弁当をチョイス
それでも達成感とも相まってか
メチャ美味しく感じられた
※ガラガラの熊の湯スキー場
水分をレスランで補修して
スキー場事務所へ入山届けを出し
復路のヤマボクへと帰ることにする
第二ぺリフトの1回券¥500を購入
その降り場からは
先程歩いてきた私たちの足跡が
ハッキリと見える
※赤線を引いてみました (^^;
帰路は通常の北ルートを選択する
その間一度もシールを付ける事も無く
ステップソールの能力は高い
こんなトップシーズンの雪質でさえ
この板は十分期待に応えてくれた
しかし
この時期の雪質は
普段以上に体力が必要だと追記しておく
行き4.1km 2時間30分
帰り6.1km 2時間10分
リフト乗車を除いた距離になりますが
しばらく全身筋肉痛が続いたことを
白状しておこう(汗)
それにしてもスキーは奥深く
装備を整えさえするば
夏場は決して行けない地
BCへと踏み入る事ができる
そしてそれを
身近に叶えてくれるエリア
これこそ故郷 高山村
そしてヤマボクの魅力である
いつの日か皆さんを
この世界に導いてあげたいものですネ