歴史に幕がおりる
The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)より
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304698204579196740757179048.html
【パリ】200年以上にわたったフランスのピアノ製造の歴史がフィナーレを迎える。世界最古のピアノメーカーの1つであるアトリエ・プレイエルは13日、パリ近郊のサンドニでの製造を停止すると発表した。ショパンからストラビンスキーに至るまでの作曲家のために製造し、同国で最後まで残っていたこのピアノメーカーは「赤字が続き、事業も不振」なために、14人の従業員を解雇するとしている。同社のカーテンコールは、世界的競争に苦しんでいるフランスの職人技能分野への新たな打撃であり、同国の陰鬱な経済ニュースがまた1つ増えることになる。同社が商業裁判所に提出した文書によると、同社の昨年の売り上げは約72万8000ユーロ(約9700万円)で、114万ユーロの赤字だった。プレイエルのロク会長は「現在、別の解決策を探している」と述べた。同社は完成品在庫の販売を続ける。
プレイエルは200年以上前、ハイドンの友人で音楽家のイグナツ・プレイエルによってつくられた。創業者が1831年に亡くなると、息子のカミーユが社を率いて、欧州全域の王族らにピアノを販売した。この時期に同社はショパンへの公式納入者となり、ショパンは同社のサロンでコンサートを開いた。 以上WEBより抜粋
なんとも寂しく残念なニュースです
スタインウェイ社は 米投資家に会社を売却し
ベーゼンドルファー社は ヤマハの小会社となり
ピアノ業界は大変困難な時期なのだと想像できる
長野市の松代文化ホールには ベーゼンドルファーが設備されており
日本国内では珍しく 世界最高峰と言われる音色は 一聴の価値あり!
20世紀最高の演奏家のひとり W・バックハウスはベーゼンドルファーを好み
確かこのピアノで ベートーヴェンPソナタ全曲を
50年代(モノラル)と60年代(ステレオ)の2回録音している
( 個人的には60年代の方が好みだ )
さて・・ 会社売却となっても ピアノは作り続けられるが
今回の記事のプレイエル社は廃業するわけだ
すなわち 新しい製品は二度と作られない
このピアノを好んで弾いたコルトーもきっと寂しいだろう
WEBより拝借・・
アルフレッド=コルトーは1877年にスイスで生まれ、直接ショパンから指導を受けた経験のある先生からも授業を受け、ロマン派のショパンやシューマンに定評があります。フランスのエコール・ノルマル音楽院で教師としても高い評価を得ました。コルトーはロマン派から続く流れを受け継いだ演奏家で、彼は特にプレイエルを愛好したと言われています。
ショパン:24の前奏曲集や ドビュッシー:前奏曲集は
確かプレイエルを弾いて録音されたと記憶している
余談だが・・・
1929年録音されたフランクのVnソナタは 今でも最高の演奏だと思う
蓄音機時代の録音なので 音はかなり悪いが大好きな1枚だ
20世紀を代表するマエストロ
Vn演奏家のティボーとコルトーの共演だから当たり前なのだが・・
我が家にスタインウェイの血を引く ボストン社製のピアノがあった
あった という事は過去形の話
そう 経済的に厳しい状況(起業時)となり
娘を東京に進学させたはいいが 仕送りが回らなくなってしまい
売却せざろうえなかった
業者に引き取られて行く時は さすがに心が痛かった
歴史あるメーカーが会社をたたむってどんな気持ちなんだろう?
そこでしか働いた事がない職人さん 調律師 販売員 営業マン・・
このプレイエルというピアノ(メーカー)が好きで
誇りを持って仕事をしていたんだろー
そう思うと なんとも心が痛む
またひとつ歴史に幕がおりる。。